Jason Donovan – Sealed With A Kiss
この曲が大好きです。この曲を聴くたびに、若さ、恋愛など、意味はいまだにわからなくても、人生における何か深奥(しんおう)なもの、途方もなく深いものを感じます。
「Sealed with a Kiss」は、ソングライターコンビのピーター・アデルとゲイリー・ゲルドが作詞作曲した楽曲だそうですが、実際にわれわれがこの曲を初めて知るのは、おそらくは1962年のブライアン・ハイランドの全米3位を記録したヒットによるものだと思います。
楽曲の内容は、英語がわからないので歌詞のところどころから理解できることは、多分、一夏をともに過ごした女性への、あきらめと希求の入り混じた愛の表明です。その女性への切望と諦念を感じることができるからこそ、この曲が切なく感じられるように思います。
ブライアン・ハイランドのあと、レターメン(1965年)、ボビー・ヴィントン(1972年)、ジェイソン・ドノヴァン(1989年)など、多くの歌手がこの曲を歌っていますが、なかでもジェイソン・ドノヴァンによるものが、もっとも心に響きます。
Jason Donovan – Sealed With A Kiss TOTP
ブライアン・ハイランドが歌う「Sealed with Kiss」も切なくて大変良かったと思いますが、ジェイソン・ドノヴァンが歌う「Sealed with Kiss」はさらに良く感じられます。もともとこの曲が持っていた魅力にジェイソン・ドノヴァンの魅力が加わり、カバーでありながら、イギリスでの大ヒットに繋がったように思います。
ジェイソン・ドノヴァンは、このビデオからもわかるように、若い女性たちに大変人気があったようです。テレビ局のスタジオライブで、観客の女性たちが熱狂的に興奮している様子が見てとれます。
このような光景を見ていると、ブライアン・ハイランドとおなじ「Sealed with Kiss」を歌っていながら、ジェイソン・ドノヴァンの何が女性たちをこれほどまでに熱狂させるのか、ついつい考えてしまいます。
このビデオを見ていて、おぼろげながら理解できることは、彼の顔、髪、表情から感じられる初々しい若さが大変魅力的に感じられ、それが女性たちを夢中にしているのではないかということです。
ジェイソン・ドノヴァンはイギリス人としては小柄で、外見も決して恵まれているようには思われませんが、彼には他の同年代の青年にはない新鮮な若さがあり、それが多くの女性たちを夢中にさせているように思われます。
このビデオのなかの彼を見ていると、若さとは何か、若いことの魅力とは何かと、つくづく考えさせられてしまいます。
そして、バックダンサーたちの踊りの振り付けも、この曲にこめられた切々とした感情を適切に表現しているように思われ、ジェイソン・ドノヴァンと「Sealed with Kiss」をきっかけとした、若さをめぐる問いかけをいっそう深めるように感じられます。